北九州第612回 東大副学長津田淳氏「エリートは公共性に奉仕する」
西日本政経懇話会12月例会が19日、小倉北区浅野のJR九州ステーションホテル小倉であり、東京大副学長・大気海洋研究所特任教授の津田敦氏が「東京大学の地域連携活動」と題して講演した=写真。要旨は次の通り。
東大は東京だけでなく北海道の北見市から、鹿児島県の奄美大島まで全国に研究施設を持ち、さまざまな分野で地域と連携した研究教育活動を展開している。
東日本大震災で町民の約10%が亡くなった岩手県大槌町では、町の再建で東大が連携している。世界的半導体企業が進出した熊本県とは、東大工学部と熊本大が協力して半導体人材を育成するだけでなく、関係人口の創出やインフラ整備でも連携している。
学生が1年かけて自治体に入って課題に取り組むプログラムもある。長崎県の福江島では、担い手が減る念仏踊りを後世に伝えるという課題に取り組んでいる。東大生は正解を出すことで生き残ってきた人たちだ。学生が正解がない地域の課題解決に向けて悩むのは教育としても意義深い。
不確実性の時代に、新しい技術や理論に基づいて日本を再生していく。2027年の創立150周年を前に、東大は「エリートは公共性に奉仕する」という信念を掲げている。 (中西是登)
2025年(令和7年)12月21日(日)





