西日本政経懇話会

北九州第555回 ウイルスと人共存も/長崎大の山本太郎教授講演

西日本政経懇話会10月例会が8日、小倉北区のホテルであり、感染症に詳しい長崎大熱帯医学研IP201008JAA000168000_00.jpg究所の山本太郎教授(国際保健学)が「Withコロナ社会の見取り図 ウイルスとの共生の視点から」をテーマに講演した=写真。要旨は次の通り。
 新型コロナウイルスは発症前に感染させるため、予防が難しい。約100年前のスペイン風邪は2年間かけて世界を3周し、当時の世界人口の25~30%くらいが感染した。新型コロナも人口の一定程度が感染し、集団免疫を持つまで流行が続くことが予想される。
 ウイルス感染症はウイルスの視点で見ると異なる風景が見えてくる。宿主がいないと自らが生き残れない。一方、私たちの体には膨大な数の常在細菌、常在ウイルスがいて、助けられていることも分かってきた。
 感染症が定着したのは農耕による人口増加や野生動物の家畜化で動物との距離が縮まったことがある。人類の長い歴史の中で極めて近い過去の出来事だったと言える。人類がいろいろな環境に進出できるのも多くの感染症に対する免疫を持っているからだ。新型コロナはわれわれと自然の関係を見直す一つのきっかけを与えている。 (野間あり葉)

2020年(令和2年)10月09日(金)

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