玄海フォーラム

平成29年度第3回例会 続報

b132e695498b3dc95be9e1e2da0cdb70b520093a.jpg 唐津市で7日にあった玄海フォーラム(会長・馬渡雅敏松浦通運社長、西日本新聞社主催)例会では、訪日外国人客(インバウンド)の大幅増で脚光を浴びる城崎温泉(兵庫県豊岡市)の観光戦略について、豊岡市大交流課の谷口雄彦課長が講演した。

 豊岡市は、歴史や文化に根差した「ローカルなまちづくり」を掲げ、土地独特の体験ができるまちの魅力を国内外に伝える施策に取り組んでいる。木造3階建ての建物が軒を連ね、旅館の外の公衆浴場「外湯」を巡る文化がある城崎温泉について、谷口さんらは勘や経験に頼っていた従来の観光戦略を見直し、マーケティング的視点を取り入れた。「浴衣姿で温泉街をそぞろ歩くのが外国人にとって価値ある体験になる」と結論づけ、顧客をその土地ならではの体験型観光を求める人が多い欧米の個人旅行者に絞った。

 インバウンドに関するデータを分析したところ、欧米の個人客は圧倒的にウェブサイトで宿泊先を予約していることが判明。日本版DMO(観光地域づくり推進法人)を立ち上げ、外国語版のホームページで宿泊予約を受け付けることにした。

 この結果、城崎温泉を中心とした豊岡市の外国人宿泊客は2016年に4万4千人と、5年前の40倍に増えた。

 また、豊岡を訪れた前後の滞在地を調べると、その多くが京都市を経由していることも分かった。谷口さんは「京都のハイダウェイ(隠れ家)としてPRしている」と述べた。

 インバウンドが城崎温泉に集中していることを課題に挙げ「市全域で経済効果が実感できる施策をしていかないといけない」と締めくくった。

 観光関係者ら約40人が聴講した。英語を生かしてガイドを務める唐津市浜玉町の平野儀光さん(64)は「外国人観光客との交流に向け、旅館や行政、市民がワークショップで学んでいるのが参考になった」と話した。  (下村佳史、水山真人)

2018年2月14日付 西日本新聞(佐賀県版)

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