アドバンス21体験記
アドバンス21体験記を話してもらいました。
profile
横山 太郎
2005年入社/
12年目にアドバンス21を実施(記者部門)
ユネスコの世界自然遺産に登録されている小笠原諸島の父島や母島、伊豆諸島の八丈島や三宅島などを巡りました。以前から島しょの歴史や文化、自然環境問題に関心があったからです。アドバンス21の魅力は最長で21日間の研修ができること。このメリットを生かすため、空港がなく東京から6日に1便しかない定期船でしか訪れることができない小笠原諸島をメーンに計画を組み立てました。
毎日が感動の連続でした。小笠原諸島や八丈島では、山の中を歩けば、希少な動植物と出合い、手つかずの自然が織りなす絶景が広がっていました。青く透き通った海の中に入れば、色彩豊かなサンゴ礁に魚の群れ、悠々と泳ぐウミガメやイルカたちに目を奪われました。2000年の噴火が記憶に新しい三宅島は島全体が火山博物館のようで、いたるところに噴火の痕を見ることができ、自然の威力に圧倒されました。生命の神秘と地球の鼓動を感じた21日間でした。八丈島で、偶然会った民宿を経営するおじさんと島最高峰の八丈富士(854メートル)に登山しました。八丈島には酒席などでそのときの思いを即興的に歌う民謡「八丈ショメ節」があり、登山の帰り道におじさんに1曲お願いすると「酒も入ってないのに恥ずかしいなぁ」と言いながらも「沖で見たときゃ~/鬼島とみたが/来てみりゃ八丈は/情け島~」と歌声を披露してくれました。島の人との出会いも印象的でした。
かけがえのない自然を守ろうと、日々悩み、格闘する島人とも出会いは、私の財産となりました。大陸と一度もつながったことがない小笠原諸島では、外来種の侵入により、長い時間をかけ独自の生態系を育んできた動植物に悪影響を与えている現状を目の当たりにしました。「元の自然を取り戻すには、大変な労力と時間が必要なんです」。ある島人の言葉がいまも耳に残っています。次世代へ引き継いでいくためにも、人と自然が共生できる道をともに考えていきたいと思っています。日本には人が住んでいる島が約400あるといわれていますが、今回訪れた島々には、それぞれ豊かな文化や歴史があることを肌で感じました。「離島」という言葉でひとくくりにとらえていた自分を反省し、九州にある数多くの島のことをもっと知りたいと思うようになりました。