次の連載随筆 「たからくるまち」 映画監督 石井 岳龍さん 27日から
2019.05.17 04:46 PM
文化面の連載随筆は、英国在住のライター、ブレイディみかこさんの「やおいかん英国日記」に続いて、27日から映画監督、神戸芸術工科大教授、石井岳龍さんの「たからくるまち」が始まります。
石井さんは1957年、福岡市生まれ。福岡県立福岡高から日本大芸術学部に進学直後に、福岡で撮影した8ミリフィルム「高校大パニック」で注目されました。その後も「狂い咲きサンダーロード」「爆裂都市 BURST CITY」「逆噴射家族」など次々と前衛的作品を発表し、国内外で評価を受けました。近作は「蜜のあわれ」「パンク侍、斬られて候」など。
随筆では、幼少年時代の石井さんの視線がそのまま置き換わったかのようなカメラアイで、昭和の博多のミクロな小宇宙が「たからくるまち」として濃密に描写されます。石井さんの映画のごとく、時に想像力が暴走し、私小説風に駆け抜けていく異色の「随筆」をご期待ください。イラストは神戸市在住の陽MKDさんが担当します。
●筆者の言葉
私が生まれ育ち、東京に出て行くまでの18年間を過ごした名もなき下町のあれやこれやの変な世界を一度探ってみたくなりました。半世紀から60年近くも前のことなので記憶はあやふやで、偏った性格ゆえに都合の悪いことはねじ曲げて妄想癖や虚言癖も混じっての迷走状態になるかもしれませんが、自分では失った記憶の宝を探し出す旅のつもりで挑みます。
=2019/05/17付 西日本新聞朝刊=