次の連載小説 8月1日から 「とめどなく囁(ささや)く」 桐野 夏生 画/内澤 旬子
2017.07.25 05:11 PM
ご愛読いただいている葉室麟・作、西のぼる・画の「影ぞ恋しき」は31日で終わり、8月1日から桐野夏生・作、内澤旬子・画による「とめどなく囁(ささや)く」が始まります。8年前に夫を海難事故で失った女性が再婚したものの、その後、待ち受ける意外な事態に、不安を募らせていきます。ご期待ください。
〈作家の言葉〉 タイトルの不安定さは、主人公の耳に聞こえてくる不穏な声を表している。人生がダメージとの闘いだとしたら、小説はその攻防を描くものだろう。
妄想と疑惑に揺れる主人公のダメージはいかばかりか。内澤旬子さんとの仕事が楽しみだ。
▼桐野 夏生氏(きりの・なつお)1951年、金沢市生まれ。98年「OUT」で日本推理作家協会賞、99年「柔らかな頬」で直木賞、2008年「東京島」で谷崎潤一郎賞。10年「ナニカアル」で島清恋愛文学賞、11年同作で読売文学賞。15年には紫綬褒章を受章。近著に「夜の谷を行く」「デンジャラス」など。東京都在住。
〈画家の言葉〉 桐野夏生さんの小説を読みながら歳(とし)を重ねて来た。女性が抱える生きづらさと、それをはね返し、したたかに闘い抜くパワーにあふれる話に何度救われたことか。まさか自分が装画をつける日が来るとは思わなかった。心して臨みたいと思っています。
▼内澤 旬子氏(うちざわ・じゅんこ)1967年、横浜市生まれ。文筆家、イラストレーター。主な著書に国内外の屠畜現場のルポ「世界屠畜紀行」、自らの乳がん体験をつづった「身体のいいなり」(2011年講談社エッセイ賞)など。近著に、現在住む香川県の小豆島への移住記「漂うままに島に着き」がある。
=2017/07/25付 西日本新聞朝刊=