次の連載随筆 「かけら」 「橙書店」店主 田尻久子さん 2月1日から
2017.01.27 01:39 PM
文化面の連載随筆は歌人松村由利子さんの「アイロンをかける時間」に続いて、2月1日より、熊本市で書店、喫茶店を営む田尻久子さんの「かけら」が始まります。
田尻さんは1969年生まれ、熊本市出身。会社員を経て、2001年、熊本市中央区新市街の小さな路地に、喫茶店「orange(オレンジ)」を開業します。ギャラリーも併設した店には文化を愛する人々が集い、やがて詩人伊藤比呂美さんが"隊長"を務めるグループ「熊本文学隊」の活動拠点になるなど、人と人とを結ぶ場となってきました。
08年には隣接地に「橙(だいだい)書店」も開店。文芸誌「アルテリ」の編集室を担ったり、作家村上春樹さんが秘密の朗読会を開いたり、ますます活動はにぎやかになりました。昨年の熊本地震を機に、近くの練兵町へ移転し、新たな時を刻んでいます。田尻さんの初めての連載にご期待ください。挿絵は福岡市在住の版画家豊田直子さんが手がけます。
●筆者の言葉
店を営みはじめて15年がたちます。お茶をいれ、本を売り、ときに唄会や朗読会を催したりして日々を過ごしています。その間には、いくつもの出会いや出来事がありました。
出会った人、見えたもの、聴こえた声、通り過ぎたこと、すべて記憶することはもちろんかないません。でも、それらは、かけらとなって私の中に堆積していき、いつしか磨かれていきます。それを、少しだけでも取り出せたらと思います。
=2017/01/26付 西日本新聞朝刊=