次の連載小説 23日から 「影ぞ恋しき」 葉室 麟 画/西 のぼる
2016.06.12 02:27 PM
ご愛読いただいている佐々木譲・作、宮崎光二・画の「沈黙法廷」は22日で終わり、23日から葉室麟・作、西のぼる・画による「影ぞ恋しき」が始まります。「いのちなりけり」「花や散るらん」に続いて、剣の達人、雨宮蔵人(あまみや・くらんど)が新たな強敵との戦いに臨む時代小説です。ご期待ください。
〈作家の言葉〉 タイトルは、古今集にある紀貫之の和歌からとった。影ぞ恋しき、とは亡くなった大切なひとを慕わしく思い出すということだろう。その気持ちは年齢を重ねるにつれ、わたし自身深くなっている。そんな胸の裡(うち)にある思いを小説として伝えたい。
▼葉室 麟氏(はむろ・りん)1951年北九州市生まれ。西南学院大卒。地方紙記者を経て、2005年「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞してデビュー。07年「銀漢の賦」で松本清張賞、12年「蜩ノ記」で直木賞受賞。著書に「春風伝」「山桜記」など。福岡県久留米市在住。
〈画家の言葉〉 葉室さんとの仕事をとても楽しみにしている。葉室さんの作品には一貫して、日本人が尊び生活の中に浸透させてきた「余情」の精神が色濃く描出されているからである。命の限りを、けなげに精いっぱい生きた人々の姿を絵筆でとらえてみたい。
▼西 のぼる氏(にし・のぼる)1946年石川県生まれ。79年デビュー、数多くの時代小説の挿絵、装丁を手がける。本紙連載の「海狼伝」(白石一郎作)、「流離の海」(澤田ふじ子作)、「下天を謀る」(安部龍太郎作)も担当した。2001年、講談社出版文化賞。石川県在住。
=2016/06/12付 西日本新聞朝刊=