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研修制度

「日韓の公営競技の現状と未来」

編集局スポーツ本部 深堀慎一郎

 ボートレース(競艇)や競輪、オートといった日本の公営競技は、戦後の各自治体の復興を目的に始まった。1990年代をピークに売上額は減少傾向だが、地域で存在感を示しているレース場はいくつもある。日本を追って始まった韓国の公営競技は今も成長を続けているという。公営競技の未来への種を感じ取ろうと、日韓両国のレース場を巡った。

 まず訪れたのは函館競馬場(北海道函館市)。季節は7月の初め。蒸し暑い福岡に比べ、梅雨のない北海道は湿度が低くて快適だ。その気候を生かし2010年にスタンドにガラス張りではない開放型の有料指定席を造った。吹き抜ける風と地面を蹴る馬の足音をダイレクトに感じる画期的な開放型スタンドは、函館競馬の開催が夏季限定だからこそ実現した。関東からの来場者が毎年10%前後を占めるなど、競馬場が地域の観光資源としても機能している。開催日数が少ない山陽オート(山口県山陽小野田市)などでも、シーズン制を導入すれば、函館のような独特の施設づくりも可能になり、検討に値すると感じた。

 津軽海峡を渡って青森市の青森競輪へ足を延ばした。「山の中にある」という話は本当で、周囲数キロに人家は一軒もない。そんな立地環境を逆手にとり、深夜に無観客でレースを行う「ミッドナイト競輪」をドーム競輪場以外で初めて開催するという。騒音対策などの心配が無用だからこそできた企画だ。特色を生かした新たなチャレンジは、他のレース場のヒントになる。

 研修後半は韓国の公営競技場6カ所を巡った。競輪場3、競馬場2、競艇場1。訪問できなかったのは1カ所だけ。特に驚いたのが、競輪の管理体制だ。公正第一で、レース開幕後は選手への取材がほとんどできない。選手間の談合を防ぐため、選手に自分の出走レースを知らせるのはわずか1時間半前という徹底ぶり。翌日のメンバー表を基にレース前日から取材する日本の競輪では考えられない。

 韓国は、ボートレースも競輪も同じ公団が運営している。選手のあっせんやレースの編成、審判、開催運営など、レースにかかわる業務を別々の団体が入り乱れて行う日本と違って、韓国はすべての業務を公団が手掛けている。このため、制度変更などがスムーズだ。選手と施行者が運命共同体として共存、繁栄を図る姿勢には見習う部分がありそうだ。レース報道に携わる私も、業界をより良い姿にしたいという気持ちを新たにした。

(2012年7月3~11日・8月30日~9月9日)

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