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「東南アジアの遺跡、博物館、世界遺産で学ぶ」

文化部 野津原広中

 私は文化部で、九州国立博物館(福岡県太宰府市)の特別展取材を担当した。そこで出合った文化財に見とれることも多かった。例えば奈良県の藤ノ木古墳で見つかった6世紀の黄金の馬具。竜や鳳凰などの精緻な彫刻に「どんな職人が作ったのか」「現代人にはない精神性がある」と胸が熱くなった。象、マカラ(怪魚)など、東南アジアのヒンズー教、仏教ゆかりの模様もあった。古代の日本と東南アジアのつながりが心に残った。タイと日本の文化財を比較する企画展では、タイの銅鼓と日本の銅鐸などに共通性を感じ、アジアの広い視点で文化財を観察する必要があると感じた。そこで今回の研修では、東南アジアのタイ、カンボジア、マレーシア、シンガポールを訪れ、遺跡や博物館、世界遺産を見学し、文化財や芸術品から刺激を受けることにした。
 圧巻は、カンボジア・シェムリアップのアンコール遺跡だった。9~15世紀に栄えたクメール人の王朝。石造りで巨大な都城やヒンズー教(一部は仏教)の寺院が建てられた。
 最も有名なアンコール・ワットは、東西1・4キロ、南北1・3キロの大伽藍(がらん)だ。第一回廊の壁には、インド叙事詩「マハーバーラタ」の戦闘場面などが浮き彫りされ、絵巻物のようだ。内側の第二回廊の外壁には、女神「デヴァター」(写真)が、いたるところに彫刻されている。柔和な表情、しなやかな肢体。1時間ほど時間を忘れて見入った。当時の彫工の芸術性は、現代人をはるかに凌駕しているのではないか。怪魚「マカラ」の彫刻もあり、藤ノ木古墳の馬具を思い出した。
タイ・バンコク国立博物館も訪れた。アユタヤ様式の遊行仏(14世紀)や石造りの法輪(8~9世紀)などの展示物は見応えがあった。ここでも脳が刺激された。
 マレーシアでは世界遺産のペナン島やマラッカ、シンガポールでは英国に占領される前のマレー人の聖なる丘などを訪ねた。
 研修中、食事は庶民的な安い屋台や食堂ですませ、現地の人と片言の英語で話した。各国での子どもたちの笑顔、親子の情にも触れ、「人間はどこも同じだ」と感じられるようになった。文化的なバックボーンを広げるだけでなく、生身のアジアの人たちに対する理解が進んだことも、今回の研修で私が得た財産である。

(2012年6月11日~7月2日)

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