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研修制度

アジアにおける日本の存在感

東京支社運動部 山本泰明

 日本の「国力」が低下していると言われている。政治や経済、外交の混迷、成長する中国の勢いに押され、かつてアジアの主人公といわれた日本には、先の見えない漠然とした不安が漂う。今、日本の存在感を知りたいと思い、アジアの中で日本とかかわりの深い台湾、タイの街を歩いた。
 3月11日の東日本大震災発生を、私は研修先のタイで知った。被害の甚大さは現地でも大きく報じられ、首都バンコクの屋台では、食い入るように新聞を読む人たちの姿をあちこちで見かけた。宿泊していたホテルでは、私が日本人だと分かるとたどたどしい日本語で「とても心配です」話しかけられた。その男性は、2004年のスマトラ沖大地震で複数の知人を亡くしたのだという。男性は「あのときの津波を思い出した。まさか日本でこんな悲しいことがまた起きるなんて」と、テレビに映る被災地の映像を、目を潤ませて見つめていた。台湾では100億円を超える巨額の義援金が集まったという。タイ発電公社はガス発電機2基をまるごと日本に貸与することも決めた。
研修の中で、耳から離れない言葉があった。「これまでにはない、強い危機感を覚えます」。タイのチェンマイで、教育支援などの活動を続ける「慧灯(えとう)財団」の顧問理事、小西誠さん(38)が感じている日本の現状だ。「周りの知人もしきりに『日本はどうなるのか』と聞いてきます」。外から見る「今」の姿は、ややもすると日本で感じているよりも大きな闇に包まれて見えるのかもしれない。台湾を訪れたのは、震災発生の前ではあったが、小西さんはこうも口にした。「各国が行く末を気にかけるのも、日本がなくてはならない存在だからでしょう」
 国難に見舞われた日本の復興はまだ始まったばかり。世界は大きな関心を持って見守っている。この危機をどう乗り越えていくのか。私たちにできることは何か。外からの視点を得て、大いに考えさせられた3週間だった。

(2011年2月26日~3月15日)

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