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シャーロック・ホームズを追いかけて

東京支社報道部 山口英宏

 「さあ、事件だ! ワトソン君!」
 ひじ掛けいすに暖炉、バイオリン。想像を膨らませていると、パイプをくゆらせながら瞑想していたホームズが、難事件の発生に目を輝かせ、飛び出していく光景が目に浮かんでくるようだ。
 英国・ロンドンのベーカー街221B。恐らく、世界で最も有名な番地と思われるここは、名探偵シャーロック・ホームズの書斎があったとされている場所だ。現在は「シャーロック・ホームズ博物館」として、観光客向けに公開され、ホームズの書斎を再現している。作家コナン・ドイル(1859―1930)が描いたホームズは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍、難事件を次々と解決した。一連のシリーズは「聖書に次ぐ世界的なベストセラー」とされている。
 もちろん、ホームズは架空の人物だが、今も世界中から事件の解決を依頼する手紙が寄せられているほどだ。原作と同じく、17段の階段を上って2階の書斎に入ると、待っていたのは案内人のスチュワート・クエンティンさん。コートをまとい、何となくホームズ風情だ。
 ホームズあての手紙が、どれぐらい届くか聞いてみた。「1日に5、6通です。世界中から来ますよ」「私の洋服が見当たりません。探してください」と依頼した女の子もいるという。
 年配のクエンティンさん。年齢を尋ねると、「157歳です」。「......?」。ホームズは1854年1月6日生まれとされている。にやりと笑ったエンティンさんは、すかさず続けた。「ワトソンは158歳です」。ホームズは生きていると信じる熱烈なファンがいるが、クエンティンさんもその一人のようだ。
博物館には記帳用のノートが置いてあった。既に夕暮れ時。この日、訪れた人のサインを拾っていくと、地元の英国をはじめ、欧州各国、米国、カナダ、メキシコ、ブラジルのほか、アジアでは日本、韓国、中国、香港など、ざっと20カ国以上。子どもから大人まで、1日でこれほど多くの国の人たちが訪ねて来ていることは、新鮮な驚きだった。
鋭い観察力、深い洞察力、果断な行動力。正義感は強いが、やむなく法律を踏み越えた人にも優しい眼差しを向ける。そんなホームズは世界中の人たちを魅了する、永遠のあこがれの存在なのだと実感した。

(2011年2月14日~3月4日)

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