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グアムにおける米軍再編の現状

東京支社報道部 斉田康隆

 日米関係の最大の懸案は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題だ。移設には、沖縄に駐留する米海兵隊員約8000人とその家族約9000人のグアム移転がセットになっている。そのグアムでは、海兵隊の受け入れを歓迎していると国内で伝えられている。本当にそうなのか。それを確かめるために、グアムに飛んだ。
 「海兵隊を歓迎しているって?100%ありえない」。グアムのダイビングショップに勤める現地住民は明言した。「荒くれ者の海兵隊が来れば、治安が悪くなる。沖縄と同じ思いだよ」。沖縄で聞く声と同じだった。グアムの主産業は観光だ。観光収入の9割が日本人観光客によるものという。遊覧飛行の航空会社の日本人男性は「治安が悪くなれば、観光客が減るんじゃないか」と不安をのぞかせた。
 グアム政府が、海兵隊受け入れを承諾したのは、インフラ整備への期待が大きい。確かに、グアムでみたインフラ事情は、想像以上にひどかった。主要幹線道路ですら、至る所が陥没し、車のハンドルを取られないよう注意しなければいけない。宿泊したホテルでは、電力不足のため、電気が消えそうになることが複数回あった。電話回線も老朽化し、インターネット回線は十分な速度が出ないという。断水も最近はないが、ちょっと前までは頻繁に起きていたらしい。「グアム政府はお金がない。だから、米国政府の申し入れにサインせざるを得なかった」と語る現地住民の言葉が、さみしく響いた。
 インフラ整備でグアムが潤うという見通しも、決して確実ではないようだ。宿泊したホテル近くに、2棟の高層ビルが建設中のまま、工事が止まっていた。ホテル従業員は「グアムに米軍が集中するという話で、島の至る所で投資が始まったが、カネが尽きたのだろう。あのリゾートマンションも、工事が再開する気配もない」と教えてくれた。
 グアムは、米国領で、連邦議会にも代議員を送っているが、議決権はない。米大統領選挙の投票権もない。グアム政府が、政治的に米国政府に抵抗する術は、沖縄以上にない。目立った住民の反対運動も起きていないといい、米国政府の方針に従わざるを得ない厳しい現実が垣間見えた。また、島内には、太平洋戦争の激戦を伝える傷跡が数多く残る。沖縄の光景とだぶらせながら、「現場に足を運ぶ」という記者の原点をあらためて思い返した。

(2011年2月14日~3月4日)

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