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日本と英国の政治風土を探る

東京支社報道部 高野靖之

 2009年夏の政権交代は、二大政党制の到来を告げたが、政局優先の衆参ねじれの下で国会審議は行き詰まり、民意がどこに向かうのか見通せない。民主党政権が二大政党制のモデルとした英国の今、そして日本の政治風土を探る旅に出た。
 「何となく寒々しい。かろうじて首は出ているけど、その下は水の中にいる気分かな」。ロンドン市内のコヴェント・ガーデン。若者であふれる街の一角で、フィッシュアンドチップスの専門店従業員、ALIさん(36)が表情を曇らせた。私が数日前に遭遇した大規模デモが話題に上った際のことだ。デモは若者数百人が手作りのプラカードを手に、労働環境の改善を訴えていた。
 保守党と労働党による二大政党制が事実上崩壊し、戦後初の連立政権が誕生した英国。世紀のロイヤルウエディングや夏季五輪を控え、街に漂う華やいだ空気を感じなくもないが、国家財政は欧州で最悪のレベルに達し、国会議事堂近くのパブでは、40代の女性が「景気がよくなった実感はないね」とこぼした。日英に共通する「政治とカネ」、そして宰相の資質、目先の政局ゲーム...。地元住民と交わす政治放談は決まって「政治はだれのため、何のためにあるのか?」という本質論に行き着いた。
 英国から帰国した私は、民主党の小沢一郎元代表の地元、岩手県奥州市に向かった。数々の「神話」に彩られてきた選挙の鬼。しかし、党内での小沢氏自身の求心力低下を反映するように、近年、足元の同県内の首長選では支援候補の敗北が続く。市内の飲食店主は小沢氏の「政治とカネ」に不快感を示し、主婦は「地元に何もしてくれない」と嘆いた。小沢氏が政権交代前も、そしてその後も繰り返す「国民の生活が第一」という言葉は、少なくとも地元では空々しく響いていた。逆風は確実に、そして徐々に強く小沢王国にも吹いていた。その底流にあるのは、地元住民の「だれのための政治か?」という素朴な疑問を出発点とした、不信の高まりだと感じた。

(2011年1月23日~2月12日)

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