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ギターを手にブルース発祥の地へ

編集センター 宮崎 祐樹

 私の趣味であるエレクトリックギターの発祥地の地・米国を訪問し、ギター工場で製作過程を学ぶことで、日々、新聞編集作業に取り組む私自身の、ものづくりの原点を再考する機会にしようと考えた。
 米国南部テネシー州メンフィス。ミシシッピ川のデルタ地帯に広がるこの都市は1800年代、黒人奴隷売買の中心地であった。黒人たちの怒りや嘆きを表現した労働歌・ブルース発祥の地でもある。
 最初に訪れたのは、世界的ギターメーカーの1つ、ギブソン社の工場。ここではギター製作の過程を45分間で紹介する見学ツアーを行っている。「一定の品質を保持していくため、1本のギターを製作するのに約3週間必要。月間約1000本が精いっぱいだ」とガイド。手を抜かない丁寧さとこだわりが詰まった作品群に、「沈黙する木の塊を、その一本だけが持つ美しい音色を奏でる楽器に仕上げるクラフトマンのプライド」(ガイド)を肌で感じた。
 太陽が沈むころ、急に熱気を帯びてくる場所がある。メンフィスのダウンタウンにあるビール(Beale)ストリートだ。生演奏を楽しめるカフェ、ライブハウス、みやげ物店などが軒を連ねる有名な「音楽通り」。公園の特設舞台、道端からも大音量の生演奏が流れてくる。
 ブルース、ジャズ、ロック…。お気に入りのバンドが見つかれば、そこが今日の観客席だ。ベテランバンドの切ないギターソロ、重厚なベースの響き、ボーカルの魂の叫びに、観客たちのテンションも上がり、いつしかステージ前は即席のダンスフロアに早変わり。ネブラスカ州から来たという黒人男性(40)は「楽しいだろ。ブルースこそマイソウルだ」と繰り返しながら、私を踊らせようと何度も手を引っ張った。混沌としつつ、ひとつの大きなうねりをつくりだす街。底知れぬパワーを感じずにはいられない。
 今回の旅ではよく外国人から話しかけられた。空港では、私が持っていた音楽雑誌の記事を見た同年代のビジネスマンと、米国人ギタリストについて議論。ロサンゼルスで滞在したホテルのフロントマンは「実はうちの娘も日本の音楽に夢中になってね。CDやらDVDやらたくさん買い込んでいるんだよ」と話が弾んだ。
   ギターを手にぶら下げていただけで、過去の海外旅行と比較にならないほど多くの人とコミュニケーションを図ることができた。これこそが、今回の研修の最大の収穫だったかもしれない。

(2010年5月25日~6月2日)

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