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欧州の環境先進国をめぐる

編集センター  辻 教

 ヨーロッパには、風力や太陽光など自然エネルギーの活用を積極的に推進している「環境先進国」が多い。そのうち3カ国を見て回った。
 オランダ各地に残る風車は、風力活用の先駆けだ。4分の1が海抜0㍍以下の国土で、主に干拓地の排水用に建設された。キンデルダイクには19基の風車が残り、1738年建設の1基の内部が公開されている。内部は羽根を回す軸や歯車などが複雑に絡み合い、下部の排水用水車に動力を伝える。自然の力を利用した先人の技術に感銘した。風車は蒸気機関の発明以降、本来の役割を終えた。だが現在、各地に風力発電機が建設され、アムステルダム郊外には、海岸から数十㍍ほど沖に十数基の風力発電機が整然と並んでいる。乗ってきたタクシーの運転手サンダーさん(43)は「(オランダでは)どこでも見られる光景だよ。地球に優しいし、世界中に広がってほしいね」と話した。自然エネルギーを見直す機運とともに、「現代の風車」は増え続けている。
 ドイツのフライブルクは「環境首都」と呼ばれ、太陽光発電の普及や公共交通網の強化など環境政策に力を入れている。感心したのは公共交通政策だ。市中心部には約500年前に完成した大聖堂があり、観光客も多く訪れる。その大聖堂周辺の石畳が敷き詰められた地区には、路面電車の軌道と歩道はあるが、車道がない。車の進入を物理的に禁止したのだ。石畳に敷かれたレールを電車が走り、歩道に設置された停留所から電車を降りた人々がどっと歩き出す。車に気をつける心配もない。電車と歩行者しかいない街の風景はとても新鮮だった。
 欧州で最も進んだ環境先進国の1つとされるデンマーク。大規模な洋上風力発電施設を建設するなど、風力を中心に自然エネルギーへの転換を進めている。コペンハーゲンでは、観光客のための無料レンタル自転車を体験した。約100カ所ある専用駐輪場で借りることができ、どこの駐輪場でも返却できる。車道と歩道の間の自転車専用道を走るのは気持ちがいい。ほとんどの道路に設置され、車と同じ右側通行なので逆向きに走る自転車はなく、歩行者に気をつける必要もなかった。
 今回訪れた3カ国の都市にはすべて自転車専用道があった。各都市を走る列車には自転車を乗せるスペースも設けられている。遠い都市でも自転車を持って行けるので活動範囲が広がり、車を使う機会を減らすことにつながる。3カ国とも、風力発電など自然エネルギー活用が進んでいることを実感できた。それ以上に、鉄道や自転車など、より生活に身近なところで環境に優しい仕組みが多いと感じた。

(2010年5月8日~5月25日)

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